ニッケルめっきとは?|電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違い
この記事の要点
- 用語の定義:ニッケルめっきとは、金属表面にニッケルの皮膜を形成する表面処理の総称で、電気分解を利用する電気ニッケルめっきと、化学反応を利用する無電解ニッケルめっきに大きく分かれます。
- 主な特徴または役割:電気ニッケルめっきは光沢や外観に優れる一方、無電解ニッケルめっきは形状によらず均一な膜厚を得やすいなど、方式によって得意とする性能が異なります。
- 実務上の重要事項または注意点:「ニッケルめっき」とだけ伝えても方式は定まらないため、部品の形状、求める外観や膜厚均一性、下地としての用途かどうかを整理して伝えることが重要です。
ニッケルめっきとは?|電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違い
金属部品の耐食性や外観を高める表面処理を調べていると、「ニッケルめっき」という言葉に行き当たります。ニッケルめっきには、電気分解を利用する方式と、電気を使わず化学反応で皮膜を形成する方式があり、どちらを指しているのか分かりにくいことがあります。本記事では、ニッケルめっきの定義と二つの方式の違い、用途、選定時に整理したい情報を解説します。
1.ニッケルめっきとは
ニッケルめっきとは、金属の表面にニッケルの皮膜を形成する表面処理の総称です。
ニッケルは耐食性や耐摩耗性に優れた金属であり、単独の仕上げとして用いられるほか、装飾クロムめっきなど他のめっきの下地としても広く利用されています。ニッケルめっきには、電気分解を利用して皮膜を析出させる電気ニッケルめっきと、電気を使わず化学反応によって皮膜を形成する無電解ニッケルめっきという、仕組みの異なる二つの方式があります。
2.電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違い
二つの方式は、皮膜を形成する仕組みと、得意とする性能が異なります。
電気ニッケルめっきは、電気分解によってニッケルを析出させる方式で、光沢や外観に優れる点が特徴です。無電解ニッケルめっきは、還元剤による化学反応を利用してニッケル合金を析出させる方式で、電流の集中が起こりにくいため、複雑な形状の部品でも膜厚が均一になりやすい傾向があります。カニゼンめっきという呼び方は、無電解ニッケルめっきの通称として使われることがあります。
3.ニッケルめっきが使用される用途
ニッケルめっきは、装飾用途から機能性が求められる部品まで幅広く利用されています。
外観の光沢を重視する部品には電気ニッケルめっきが、複雑形状や寸法精度が求められる部品には無電解ニッケルめっきが選ばれる傾向があります。また、ニッケルめっきは装飾クロムめっきの下地としても用いられ、下地と仕上げの組み合わせによって最終的な性能や外観が左右されます。
4.ニッケルめっきを選定する際の注意点
ニッケルめっきを選ぶ際は、部品の形状、求める外観や膜厚均一性、用途を整理して伝えることが重要です。
「ニッケルめっき」とだけ伝えると、電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきのどちらを指すのか判断がつかない場合があります。装飾性を重視するのか、複雑形状での均一性を重視するのかによって、適した方式は異なるため、用途や現在の課題を整理したうえで相談することが有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1.ニッケルめっきとカニゼンめっきは同じですか?
A.カニゼンめっきは、無電解ニッケルめっきの通称として使われる呼び方です。ニッケルめっき全体の中には電気ニッケルめっきも含まれるため、カニゼンめっきはニッケルめっきの一種という位置づけになります。
Q2.電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきはどちらが硬いですか?
A.浴の種類や条件によって異なるため一概には言えません。硬度を重視する場合は、ビッカース硬度など客観的な指標に基づき、要求仕様と照らして個別に確認することが重要です。
Q3.複雑な形状の部品にはどちらが適していますか?
A.一般に、電流が集中しにくく膜厚が均一になりやすい無電解ニッケルめっきが選ばれる傾向があります。ただし部品の形状や求める性能によって適否は異なるため、個別の確認が必要です。
Q4.ニッケルめっきは下地としても使われますか?
A.はい。装飾クロムめっきなど他のめっきの下地として、密着性や光沢を高める目的でニッケルめっきが使われることがあります。仕上げのめっきと組み合わせて検討されるのが一般的です。
Q5.ニッケルめっきとステンレスの違いは何ですか?
A.ニッケルめっきは金属表面に皮膜を形成する表面処理であるのに対し、ステンレスは素材そのものの成分(クロムなど)によって耐食性を持つ金属です。両者は仕組みが異なるため、目的に応じて使い分けが検討されます。
ニッケルめっきの方式選びでお悩みの方へ
適切なニッケルめっきの方式は、部品の材質、形状、求める外観や機能、下地としての用途の有無によって異なります。仕様だけでなく、現在の課題を整理したうえで検討することが重要です。自社での判断が難しい場合は、条件を整理して専門会社に相談することも一つの方法です。日本バレル工業と一緒に、部品や課題に合った処理方法を検討することができます。