硬質クロムめっきとは?|工業用クロムめっきの特徴と装飾クロムめっきとの違い

目次

この記事の要点

  • 用語の定義:硬質クロムめっきとは、耐摩耗性や耐熱性の向上を目的として鋼材などの表面にクロムの皮膜を厚く形成するめっきで、装飾用のクロムめっきとは目的や膜厚が異なります。
  • 主な特徴または役割:クロム皮膜は高い硬度を持ち、摩耗や摺動が生じる部位の表面保護に用いられる点が特徴で、装飾クロムめっきより厚い皮膜が形成される傾向があります。
  • 実務上の重要事項または注意点:クロムめっきの浴には六価クロムを用いる従来型と三価クロムを用いる方式があり、環境規制への適合は処理名だけで判断せず個別に確認する必要があります。

硬質クロムめっきとは?|工業用クロムめっきの特徴と装飾クロムめっきとの違い

耐摩耗性が求められる部品の表面処理を調べていると「硬質クロムめっき」という用語に行き当たることがあります。工業用クロムめっきとも呼ばれ、自動車の外装などに使われる装飾クロムめっきとは目的や特徴が異なりますが、両者の違いが分かりにくいという声も少なくありません。本記事では、硬質クロムめっきの定義、仕組みと特徴、用途、選定時の注意点を、装飾クロムめっきとの違いを踏まえて解説します。

1.硬質クロムめっきとは

硬質クロムめっきとは、素材表面にクロムの皮膜を厚く形成し、耐摩耗性や耐熱性の向上を主な目的とするめっきのことです。

「工業用クロムめっき」とも呼ばれ、光沢や色調を重視する装飾クロムめっきとは目的が異なります。装飾クロムめっきは下地にニッケルめっきを施したうえで薄いクロム皮膜を形成するのに対し、硬質クロムめっきは機能面を重視し、比較的厚いクロム皮膜を直接形成する点が特徴です。

2.硬質クロムめっきの仕組みと主な特徴

硬質クロムめっきは、電気分解によって素材表面にクロムを析出させ、高硬度の皮膜を形成する仕組みです。

形成される皮膜は硬度が高く、摩耗や摺動が繰り返される部位の表面保護に適しているとされています。皮膜には微細なクラック(ひび割れ状の構造)が生じやすい性質があり、この構造が潤滑油の保持に役立つ場合がある一方、皮膜の性質や下地との密着性は、素材の材質や前処理の状態によって左右されます。

3.硬質クロムめっきが使用される用途

硬質クロムめっきは、摩耗や摺動が発生する機械部品の表面保護を目的として使用されています。

油圧シリンダーのロッドや金型、軸部品など、繰り返しの摩擦や荷重がかかる部位への適用例が一般に知られています。装飾クロムめっきが外観重視の部位に用いられるのに対し、硬質クロムめっきは機能面を重視する部位に用いられる傾向があります。

4.硬質クロムめっきを選定する際の注意点

硬質クロムめっきを検討する際は、装飾クロムめっきとの違いを踏まえたうえで、必要な硬度や膜厚、環境規制への適合状況を確認することが重要です。

クロムめっきの浴には、従来から使われてきた六価クロムを用いる方式と、近年採用が広がっている三価クロムを用いる方式があります。RoHS指令やREACH規則などの規制対応は、処理名だけで一律に判断できるものではなく、対象規制や分析結果、証明書の確認が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1.硬質クロムめっきと装飾クロムめっきの違いは何ですか?

A.主な違いは目的と膜厚です。装飾クロムめっきは光沢や外観を重視し薄い皮膜を形成するのに対し、硬質クロムめっきは耐摩耗性などの機能を重視し、比較的厚い皮膜を形成します。

Q2.硬質クロムめっきの皮膜にひびのようなものが見えるのは不良ですか?

A.必ずしも不良とは限りません。硬質クロムめっきの皮膜には微細なクラックが生じやすい性質があり、これは一般的に知られた特徴の一つです。ただし過大なクラックや剥離は品質上の問題となるため、個別に確認が必要です。

Q3.硬質クロムめっきは六価クロムを使用していますか?

A.使用する浴の種類によって異なります。従来は六価クロムを用いる方式が一般的でしたが、三価クロムを用いる方式も採用されています。どちらの方式かは処理名だけで判断せず、個別の確認が必要です。

Q4.硬質クロムめっきの硬さはどのくらいですか?

A.浴の種類や処理条件によって異なるため、一概な数値は明言できません。硬度を検討する際は、ビッカース硬度など客観的な指標に基づき、要求仕様と照らして個別に確認することが重要です。

Q5.硬質クロムめっきは小さな部品にも使用できますか?

A.部品の形状や求める膜厚によります。厚い皮膜を均一に形成するには相応の工程管理が必要となるため、対象部品の寸法や公差、要求される性能を整理したうえで検討することが望まれます。

硬質クロムめっきの選定でお悩みの方へ

適切なクロムめっきの方式は、部品の材質、形状、要求される硬度や耐摩耗性、規制対応の要否などによって異なります。仕様だけでなく、使用環境や現在の課題を整理したうえで検討することが重要です。自社での判断が難しい場合は、条件を整理して専門会社に相談することも一つの方法です。日本バレル工業と一緒に、製品や課題に合った解決策を検討することができます。

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