ストライクめっき

【この記事の要点】

  • ストライクめっきとは: ステンレスなどの「めっきが密着しにくい素材」に対して、本番のめっきを行う前に施す、極めて薄く強固な「下地(土台)めっき」のことです。
  • 密着不良の真犯人: ステンレス表面の錆を防ぐ「不動態皮膜」が、めっきの密着を阻害します。ストライクめっきは、この皮膜を電気の力で破壊しながら瞬時に金属を乗せます。
  • 難素材への対応力: 「他社で剥がれた」「断られた」という特殊合金やステンレス部品でも、NBKの精緻なストライクめっき技術により、完璧な密着性を実現します。

ストライクめっきとは?|「他社で断られた」難素材を密着させる技術

「ステンレス部品にめっきをしたら、テープテストで簡単に剥がれてしまった」「複数のめっき業者に『うちでは密着の保証ができない』と断られた」。そんな切実なご相談をいただくことがよくあります。このようにめっきが乗りにくい「難素材」への表面処理を可能にする、一種の魔法のような前処理技術が「ストライクめっき」です。本記事では、その強力な密着メカニズムを解説します。

1. なぜステンレス(SUS)へのめっきは剥がれるのか?

ステンレス(SUS)が錆びにくい理由は、空気中の酸素と結びついて表面に非常に緻密で強固な「不動態皮膜(酸化被膜の一種)」を形成しているからです。

この不動態皮膜はサビを防ぐバリアとしては優秀ですが、めっきをする際には「接着剤を弾いてしまう強力な壁」として立ちはだかります。通常の酸洗いでこの被膜を落としても、水洗いや空気中に触れた瞬間に再び被膜が形成されてしまうため、そのままめっきをすると確実に「密着不良(剥がれ)」を起こします。

2. ストライクめっきが強固な「土台」を作るメカニズム

この厄介な不動態皮膜の壁を突破するために用いられるのが、「ニッケルストライク」に代表されるストライクめっきです。

ストライク(Strike=打つ、攻撃する)という名前の通り、通常のめっきよりも非常に強い電流(高電流密度)を、数十秒という短時間で一気に流すのが特徴です。

  1. 強い電気の力で素材表面に大量の水素ガスを発生させ、その力で不動態皮膜を強制的に還元・破壊します。
  2. 被膜が壊れて「純粋な金属素地」が露出したその瞬間(同時)に、極薄のニッケル皮膜を析出させます。

これにより、ステンレスが再び酸化する隙を与えず、素地にガッチリと食い込んだ強固な「下地(土台)」が完成します。あとはこのストライク皮膜の上に、目的のめっき(金、銀、銅、ニッケルなど)を通常通りに施せば、絶対に剥がれないめっき製品に仕上がります。

3. 日本バレル工業の「難めっき材」対応力

ストライクめっきは強力な技術ですが、強い電流を扱うため、製品の角が焦げたり、バレル(回転籠)の中での電流分布にムラができたりと、「バレル方式での量産化が非常に難しい技術」とされています。他社がステンレスのバレルめっきを断る最大の理由はここにあります。

しかし、日本バレル工業(NBK)では、創業70年で培ったバレル回転制御と、独自に調整したストライク浴(めっき液)のノウハウにより、小さなステンレス製ネジや複雑な形状の接点部品などに対しても、安定したストライクめっきの量産を可能にしています。

4. よくある質問(FAQ)

Q1. ストライクめっきを、そのまま「仕上げ(最終表面)」にできますか?

A. できません。ストライクめっきは密着性を確保するためだけの極めて薄い皮膜(0.1μm〜数十nm程度)であり、防錆力や外観の美しさを持っていません。必ずその上に「本めっき(仕上げ)」を行う必要があります。

Q2. ステンレス以外の素材にも使われますか?

A. はい。ステンレス以外にも、ニッケル合金、インコネル、コバールといった難めっき材や、一度ニッケルめっきをした上にさらに別のめっきを重ねる場合など、密着が懸念される様々な場面でストライクめっきが活躍します。

Q3. 通常のめっきに比べてコストは上がりますか?

A. 前処理として「ストライクめっき」の専用工程が丸ごと一つ追加されるため、鉄や銅に直接めっきをする場合に比べると加工コストは高くなります。しかし、ステンレス部品へのめっきには不可避の工程です。

Q4. ストライクめっきをすれば、絶対に剥がれませんか?

A. ストライクめっきを行う前段階の「脱脂(油落とし)」が不十分だと、ストライクめっき自体が密着しません。確実な密着を得るには、電解洗浄などの適切な前処理とセットで行うことが大前提となります。

Q5. ストライクめっきにはどのような金属が使われますか?

A. ステンレス等の下地には「ニッケル(ウッド浴など)」が最も一般的ですが、素材や本めっきの種類によっては「銅ストライク」や「銀ストライク」、「金ストライク」が用いられることもあります。

他社で断られた「難素材のめっき」こそ、当社の出番です

「ステンレスの部品だからめっきは無理」「剥がれによるクレームが多発している」といったお悩みは、最適なストライクめっきの導入で確実に解決できます。バレル方式での難素材加工ノウハウを持つ日本バレル工業へ、ぜひお気軽にご相談ください。

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