塩水噴霧試験とは?メッキの耐食性を数値で証明する品質管理の重要性

メッキ加工を検討する際、図面に「〇〇時間サビなきこと」という指示を目にすることが多いのではないでしょうか。メッキの最大の使命は素材を腐食から守ることですが、その性能を客観的に証明するために不可欠なのが「塩水噴霧(えんすいふんむ)試験」です。

前回の記事では「メッキ膜厚の決め方と寸法のバランス」について解説しましたが、適切な膜厚を設定した上で、それが実際に意図した通りの防錆力を発揮しているかを確認するまでが品質管理の根幹です。

本記事では、耐食性能を数値化する塩水噴霧試験の仕組みと、日本バレル工業がなぜ「試験データ」にこだわるのかを解説します。


1. 塩水噴霧試験とは?耐食性を評価する「加速試験」

塩水噴霧試験(JIS Z 2371)は、人工的に過酷な腐食環境を作り出し、製品がどれくらいの時間サビに耐えられるかを測定する試験です。

  • 試験の方法: 35℃に保たれた試験槽内で、5%の塩水を霧状にして製品に浴びせ続けます。
  • 「加速」の重要性: 自然界で数年かかる腐食を、数十時間〜数百時間で再現します。これにより、短期間でメッキの良否を判定できます。
  • 評価の基準: 一般的には「赤サビ発生まで240時間」といった時間指定で評価され、これが製品の「寿命の目安」となります。

2. 膜厚と耐食性の密接な関係

「メッキが厚ければ錆びない」という理論は間違いではありませんが、実務ではそれほど単純ではありません。

メッキの種類 膜厚の目安 塩水噴霧試験(赤サビ)の目安
亜鉛メッキ(3価クロメート) 5μm 約72〜96時間以上
高耐食亜鉛メッキ 8μm以上 240〜1000時間以上

耐食性は膜厚だけでなく、「メッキ液の管理状態」や「後処理(クロメート処理)の品質」に大きく左右されます。そのため、仕様通りの膜厚であっても、定期的な試験によって「実力値」を検証し続けることが不可欠なのです。


3. 日本バレル工業の強み:自社内での「耐食性試験」実施

多くのメッキ加工会社が試験を外部機関に委託する中、日本バレル工業では自社内に塩水噴霧試験機を保有し、日常的な品質管理に活用しています。

なぜ自社試験にこだわるのか?

  • 異常の早期発見と対策:
    生産ラインの液管理と連動させ、万が一耐食性に陰りが見えた場合、即座にラインを止めて調整を行う体制を整えています。
  • 試作段階でのスピード検証:
    新しい形状や特殊な素材へのメッキにおいて、「この形状でも指定時間に耐えられるか」を試作段階ですぐに検証し、お客様へフィードバックできます。
  • 根拠のある数値提案:
    「この環境なら5μmで十分です」「この用途なら8μm必要です」といった提案を、過去の膨大な試験データに基づいて行うため、過剰スペックによるコスト増を防げます。
当社の研究開発体制:
私たちは単なる「受託加工業者」ではなく、表面処理のプロフェッショナルとして、膜厚管理、液濃度管理、そして耐食性試験の3軸で、お客様の製品品質を強固にバックアップします。

4. 業者選定で差が出る「品質証明書」の信頼性

加工依頼を検討されている担当者様にとって、最も不安なのは「納品された製品が本当に指示通りの性能を持っているか」ではないでしょうか。

日本バレル工業では、ご要望に応じて試験結果に基づく品質証明書(検査成績書)の発行を行っています。

  • 正確な膜厚測定データ
  • 塩水噴霧試験による耐食性確認データ
  • 徹底した生産ラインの管理ログ

これらが揃うことで、貴社の最終製品の信頼性も高まります。特に自動車部品や建築金物など、市場での耐久性が厳しく問われる分野において、当社の徹底した管理体制は高く評価されています。


まとめ:サビへの不安は「データ」で解消しましょう

メッキの品質は目に見えにくいものだからこそ、数値による「見える化」が重要です。適切な膜厚設定と、それを裏付ける塩水噴霧試験。この両輪が揃って初めて、安心できる製品づくりが可能になります。

「現行のメッキでサビが出て困っている」「新製品に必要な耐食性の目安が知りたい」といったご相談があれば、ぜひ当社の技術力をご活用ください。

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日本バレル工業株式会社
創業70年。研究開発と徹底した品質管理に強みを持ち、亜鉛メッキ・ニッケルメッキの試作から量産まで対応。自社保有の試験設備による迅速な品質検証で、お客様の課題を解決します。

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